★カントク先生新作版画『胡桃の夢』
『それぞれの作品は、作品ごとに新しいチャレンジをしています。』と語るカントク先生
今回の新作版画では、そもそもの制作時にどのようなチャレンジをされていたのでしょうか?
お話を伺いました。
◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆
―作品のテーマや、この作品を描いたきっかけを教えてください。
もともと『雲を見下ろしたような構図』を描きたいなぁと思っていた中で完成した作品です。
『空を飛んで下を見下ろす』というシチュエーションは前にもやっていたし、
構図的に空にパースを与える感じがやりたかったので、
キャラクターとの組み合わせが思い浮かばず作画としては止まっていましたが、
ガラスの螺旋階段を着想してからはサラサラ進みました。
①パースを取る
中心点を決めて放射線状に線を描き、遠近感を付けます。
②螺旋階段を思いつく
―では作品作りで苦労した点と言ったら?
まさにアイディア出しです(笑)
1つのアイディアから一気に描けることもあるのですが、この作品では背景にキャラをマッチする手段に苦戦しました。
また、螺旋階段そのものもパース取り苦労しています。
一段一段遠近感がありつつ段を表現するというのが、まっすぐ目線じゃない故に難しくて。
(螺旋階段の)中心のポールがあるわけでもないので、バランスが大変でした。
3Dのソフトを使いたいくらい、面倒くさかったです(笑)
―作品をご覧いただく方に見てほしいポイントはありますか?
自分の作品としてはめずらしく雲が白くないです。
雲を白くしてしまうと蝶も光って見えないし、
露出をさげて暗くは見えないけど奥行きがあるように色味を調整しています。
全体的な演出は見てほしいですね。
―光った蝶も魅力的です。
レイヤーを分けて色味を重ねていくと光って見えるんです。
―神絵祭にお越しいただいた皆様に一言メッセージをお願いします。
今回の神絵祭では、過去の作品も含めここでしか見れない作品がたくさんあると思いますが、
自身の作品は集大成を並べたというよりも、
一作ごとに新しいものにチャレンジしているので、
それぞれを違った角度で見ていただけると嬉しいです。
◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆
『感性』だけでなく、
『物理的』な考察も作品に盛り込む作品だからこそ絶大な支持を受けるカントク先生ですが、
今回は版画でも新たな試みをしています。
次回記事は11月16日、続報をお楽しみに!