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★カントク先生新作版画『ME版 胡桃の夢』

もはや定番となりつつある金属版の版画ですが、

今回のこだわりポイントは、『作品の中の空気感』です。

 

ひと口に金属板への版画と言ってもいろいろな方法があり、

出したい表現に合わせて様々な工夫を凝らします。

 

今回は『空気感の演出』のため、何層もの工程を経ています。

 

①ベースとなる金属の板にグラインダーを用いて傷をつけます。

傷をつけることで色の発色をよくするために乗せる白版が定着しやすくなることと、

金属の冷たさを和らげ、画面に動きをもたらす効果があります。

 

②金属に白版をひき、その上に背景のみを版画します。

この際もちろん版画ならではのこだわりで、色を塗り重ねます。

 

③背景の版画の上に特殊ジュレをコーティング

 

④ジュレの上に人物・ちょう・螺旋階段を版画します。

 

層を重ねることで、先生が意図していた空間の奥行きを表現。

実際に螺旋が浮いているように見えます。

 

⑤蝶の形のラメを配置し、さらに特殊ジュレをコーティング

層の間に蝶のラメを置くことで、

さらに空間を感じられるようになりました。

 

上記だけでも大変な時間と手間をかけて制作していますが、

色校正の際には人物が浮いてしまうからこそ出てしまうイメージのずれなども微調整をし完成させます。

 

カントク先生の作画の理論・感性とプロの刷り師たちによるコラボだからこそお楽しみいただける作品となっています。

 

前回ご紹介した通常版『胡桃の夢』の記事はこちら