カントク先生に新作版画『ILLUMINATED TUNNEL』について伺いました!
今回のカントク先生神絵祭新作版画は『ILLUMINATED TUNNEL』です。
タイトルどおりイルミネーションに彩られたこの作品は、どのように制作されたのでしょうか。
Q:作品の舞台とテーマを教えてください。
カントク先生(以下、カ):『なばなの里』を描きました。
行ったことはないのですが、まずイルミネーションを描きたいなと思い立ち
自分の写真をあさったのですが、全面イルミネーションのイメージのものがなくて。
他の場所も候補にあったのですが、妙に凝っていていろいろな色味がまざっているものばかりのなか
『なばなの里』は暖色が一面にひろがっているのが描きたいイメージにぴったりだったんです。
Q:こだわりポイントは?
カ:くるみの暗さです。
ほぼ全部が影になっているのでどこまで暗くするかにこだわりました。
普通にこの風景を見たら人物は表情が見えないくらい暗いはずなのですが
そこは『絵』なので、バランスにこだわっています。
Q:先生こだわりの『光』と『影』ですね。
最近のデジカメやスマホですと、人物も明るく写せたりしますが。
カ:スローフラッシュとかでそうすることはできますが、気持ち画面が平面的に感じませんか?
特にこの絵柄だと、夜の暗闇とイルミネーションのコントラストがはっきり出なくなったりすると思います。
その点、『絵』だと自由にバランスとれますから(笑)
実際この絵も本当なら、この立ち位置だとくるみ自身にもイルミネーションの光が当たってしまって
明るく見えるはずなんです。なのでイルミネーションのトンネルの入り口にいると思ってください(笑)
Q:『絵』だからこそ意図的についた『ウソ』ということですね。
カ:アイディアだしの段階で『ウソ』をつこうと決めたら、迷わずそれで進めるようにしています。
Q:画面にはイルミネーションがあふれていますが、時間がかかったのでは?
この絵のために電球ブラシを作ったんですが、当然奥に行くにつれて遠近法で小さくなりますよね。
でも、実際の光景だと奥の方は乱反射して手前の光と大差ない大きさに見えるんです。
その、奥にある光のあふれた感じを表現したくて苦労しました。
電球だけで3回塗りなおしたんです。1回目は大きすぎて、2回は感覚が狭すぎて…
苦労しました。
Q:神絵祭にご来場いただくファンの皆様に一言お願いします。
今回の絵は密度が高くコントラスト差が激しい絵になったので、めずらしく作画中に目が何度か
疲れました。
疲れるほど見てくださいとは言いませんが、コントラストを見に来てください!