作品ギャラリー
珈琲貴族先生新作版画 『神代桜』(2015.01.11)
神絵祭用の新作ではありませんが、
現在新作展を開催中の珈琲貴族先生の新作版画『神代桜(じんだいさくら)』について、先生にアンケートをいただきました。
珈琲貴族『神代桜』
今回の舞台は山梨県の北杜市にある『山高神代桜』というのを描いてみました。
日本最古の桜のと言われている1本木で、
樹齢は1800年とも2000年とも言われているらしく、
西暦と同じくらい咲いている桜のようです。
僕も実際に見に行ったことがありまして
その神々しさは圧巻で、
いつかイラストにしてみたいと思っておりました。
今回「春をテーマに」というお題をいただき、
その「いつか」を実現出来る機会が出来てとても嬉しいです。
僕自身もとても気に入っている作品なので、
ぜひ見ていただけるといいなと思っております。
……青山さんとお花見、最高ですね!!(笑)
BY 珈琲貴族
すでに大人気のこちらの作品は、福岡神絵祭でも展示予定です。
新作版画展に残念ながら行けない…という方はぜひ神絵祭にてご覧ください!!
CARNELIAN先生に版画『シロツバキ』について伺いました!!(2014.12.21)
CARNELIAN『シロツバキ』
―作品のコンセプトをお願いいたします。
『雪のような透明感と儚さとあたたかさ』です。
―そのコンセプトを思いついたきっかけは?
シロツバキは冬の白椿をイメージしたキャラクターなので冷たい印象がありますが、
彼女本来は優しい儚い、あたたかみのあるキャラなので、
その『冷たい色なのに優らかいあたたかさを感じる』を表現できたらと考えました。
―作画でこだわった点を教えてください。
全体の色のバランスです。冷たくない白と青の色使いです。
―苦労した点はありますか?
とくにありません。最後まで楽しく描けました。
いつもイメージのままに描くようにしているということもあるのでしょうが、
あまり悩まずに描くことができました。
―この作品で版画に期待することは?
白と青の発色ですね。
―先生なら版画をどこに飾りますか?
書斎、もしくは玄関ホール…でしょうか。きれいな空気が穏やかに流れるところに飾ってみたいですね。
KEI先生新作版画『ハナノイノリ』(2014.12.20)
ハナノイノリ/KEI
KEI先生の新作版画『ハナノイノリ』は、
版画化のために描き下ろしていただいた作品です。
軸中心派で販売されている『つぼみ』という作品を知っていますか?
http://www.jiku-chu.com/products/detail.php?product_id=5253
この妖精さんは「花を起こす」役目があるそうです。
花のつぼみに話しかけて、花が咲くのをお手伝いしています。
今回の新作版画の妖精さんも同じように役目を担っています。
花を起こす妖精さんによって、沢山の花たちが目覚めます。
その目覚めを見守るのが『ハナノイノリ』の妖精さんです。
元気に沢山の花が咲いているのを、手に持っている双眼鏡で観察しながら見守っています。
そんな妖精さんのストーリーが秘められている作品です。
版画の作り自体もちょっとこだわりがあります。
妖精さんのふんわりとした雰囲気を生かすよう、版画の紙をまっすぐにカットせず、紙をあえて破ってあります。
職人さんが一枚一枚手で破って自然な優しさを出しているので、これは実際に見ていただけたら嬉しいです。
KEI先生の優しい想いの詰まった作品を、ぜひ間近でご覧ください。
☆カントク先生新作版画タイトル発表!☆(2014.12.14)
先日、たっぷりと素材へのこだわりをお伝えした、カントク先生の新作版画。
実際の画像が手に入りましたので、皆様にちょっぴりお見せいたします!
本物の金を貼ったからこその輝き、お伝えできておりますでしょうか?
そして、作品の正式タイトルが決定いたしました。
『和格子』
カントク先生と言えば、
チェックが代名詞ですが、今回はなんとジャパニーズチェックです。
先生のこだわりが随所に出た作品だからこそ、
代名詞たる’チェック’をタイトルにつけています。
神絵祭だからこその神絵の競演!開催が待ち遠しいですね!
三嶋くろね先生に『ラムネ色』について伺いました!(2014.12.07)
三嶋くろね『ラムネ色』
-作品のコンセプトを教えてください
青色を元に描いていきました。
-そのコンセプトを思いついたきっかけはなんですか?
風に髪がなびいている子を描きたくて、「風はどこにあるだろう」と考えたとき、
海沿いのイメージが湧いてきたんです。
それで青をコンセプトにしました!
ちょうどシエルのイメージカラーも青ですし、ピッタリだなと。
-作画上こだわった点はどこですか?
髪です!!
単になびいているだけではなくて、ふんわりとさせたかったので、
質感にはこだわりました!
-苦労した点があれば教えてください
特にこれといった苦労はなかったです(笑)
いつもイメージのままに描くようにしているということもあるのでしょうが、
あまり悩まずに描くことができました。
-この作品で版画に期待することは何ですか?
とにかく青色をきれいに出してください!
-この作品を三嶋先生なら、どう飾りますか?
自分の作業場に飾りたいですね。癒されるので~。 (ホントは他の方の絵を飾りたい気持ちもありますが・・・)
☆カントク先生も新素材に挑戦!☆(2014.12.06)
カントク『正月』
今回、カントク先生にも新素材の版画に挑戦して頂きました!
真鍮を素材として使った版画です。
左の作品をよ~くご覧ください。
これまでのカントク先生の作品の中でも、いつもとは違った素材感が。
背景は自然や日常の風景ではなく、和のデザインが組み込まれた作品に
仕上がっており、版画でも少し遊べるかなと。
まず、制作の上で一番最初に「これをやろう!」と決まったのは
ベースとなる素材の真鍮部分ではなく、背景にある2種類の花のモチーフに
本物の金箔を貼ろうということでした。
これまでにも金箔を使用した作品は発表してきましたが、当然手作業での貼付となるため
結構な手間と時間がかかってきたんです。
そこで今回は新技法の登場!
とある工房様が開発した技術(←これも秘密)により、少しばかり金箔が早く貼れるようになりました。
こう聞くと、たいしたことなく聞こえてしまうのですが、この時間の短縮により、より気軽に金箔を使えるようになったのもまた事実。
この作品が、未来の版画制作を大きく変えるかもしれないターニングポイントかもしれません。
そして、もともとの絵が持つ素材感と、より自然に金箔が映える条件を満たすため、和紙や、クレイペーパーなど
様々な素材で試し刷り、果ては木そのものにも刷ったりした中で、選ばれた素材が真鍮だったのです。
今年の新作版画でも様々な技術にチャレンジしてきましたが、そのチャレンジが選択肢の幅を増やし
『面白い』作品を皆様にもご提供できるということが、お分かり頂ける一枚になったと思います。
年末は名古屋の神絵祭で是非2014年の集大成をご覧ください!
☆てぃんくる先生『BIANCOSPINO WHITE M/E』☆(2014.12.01)
大理石に色を載せているせいか、なんとなく硬質的で
てぃんくる先生作品の魅力の一つである『やわらかさ』が表現されていません。
ここで独特の立体感を出せる樹脂をコーティングできないかという部分で問題が発生。
紙や金属ではその大きさよりはみ出すように樹脂をのせ、
あとから余分な部分をカットするのですが、大理石では不用意にカットすると
ひび割れの原因になってしまいます。
その部分は工房さんの企業秘密的努力で解決されたものの、
今度は樹脂を載せたことで色が変わってしまうため、
再度色調整が必要となりさらなる時間を要しました。
はっきりと認識できない。
大理石の模様を活かすために背景を半透明にしたため
ぼやけてしまった、
スノードームの境界線。
ここではスノードームの外周にあたる部分の白をよりはっきりと磨り出し
さらに、特殊効果としてキラを載せることで丸みのある立体感を演出。
ご覧いただいた方は、自然な立体感に驚かれることでしょう。
大理石を素材として利用する、今回の試み、是非会場で目撃してください!
☆てぃんくる先生『BIANCOSPINO WHITE M/E』☆(2014.11.30)
実は、この大理石、てぃんくる先生念願の素材でした。
3年以上前からいつか大理石に版画を刷りたいとのご希望はあったものの
実際に満足できるレベルの作品を作り上げるにはまだ技術的に難しく、現実にできないでいました。
まずは石選び。作品のイメージに合う模様で一定の大きさのある大理石を、数揃えなければなりません。
今回の『BIANCOSPINO WHITE』はご覧のとおり淡い作品の為、大理石のイメージがそのまま作品に反映されてしまいます。
なんとこの石選びだけでも2か月かかり、遂に今回の大理石を発見!(もちろん発掘したわけでは
ございません。)
てぃんくる先生にも『これしかない!』のお墨付きを賜り、いざ制作がSTART。
背景は大理石の模様を活かすため半透明になるように絵柄を刷り、
人物の部分は存在感を出せるよう一度白い絵具を素地に引いた上で
刷っていきます。
大理石に刷った『BIANCOSPINO WHITE』は独特の存在感が。
ここまで来たら『大理石を使えた~!』ということで満足するのが普通です、ここでやめたかったんです。
だって大変ですもの…。
この段階で先生がもっとも気になった部分、こだわったのは
①全体的な発色がいまいち。
②今回作品としてこだわったスノードームがはっきりと認識できない。
この解決のため、どのような手段をとったのか。
つづきは又明日。
☆てぃんくる先生『BIANCOSPINO WHITE』エレメントシリーズ☆(2014.11.29)
2014年、てぃんくる先生の版画では通常のこだわり以上に素材にこだわってきました。
2014年6月発表
『ETOILE RECETTE M/E』2014年9月発表
『TREBLE CHORUS M/E』
『ETOILE RECETTE M/E』ではステンレスに、『TREBLECHORUS M/E』では真鍮を素材に使うことで、
これまでの版画では出しえなかった、現実的な立体感や、透明感を出すことに成功、
その技術の上にてぃんくる先生のこだわりがのったことで、会場を訪れた皆様を驚かせたかと思います。
そして第三弾。
タイトル『BIANCOSPINO WHITE M/E』のM/Eは、これまでのM/Eとは違います。
なんと、メタルエディションではなく、マーブルエディションの登場です、大理石です!
では、その一部をちょっぴり公開。
実はこの大理石エディション、完成までには一方ならぬ苦労がありました。
そのご紹介は明日に!
☆茨乃先生『BLACK BLADE』、版画の黒☆(2014.09.23)
たとえば黒。
学生時代に書道の時間に墨を塗り重ねた記憶を
思い出してください。
1回塗るより2回、2回塗るより3回塗り重ねれば
塗り重ねるほど墨の黒が深くなりますよね。
版画ではその塗り重ねが可能です。
塗り重ねたからこそでる『黒』があります。
今回の版画は『BLACK BLADE』ですから、
何と言っても黒は命となる色。
前作『クロックワーク・プラネット』では白がメインの
作品でしたが、あえて協調の為使用した『黒』の為の技法を
ここで使わない手はありません。
通常厚みを表現するために使用するシルクスクリーンでは物足りず、
あえてマスクの上から絵の具を吹き付けることで、実際に絵の具のみで『立体感』ではなく『立体』を表現しました。
会場にいらしたら、この版画は是非正面からだけでなく、横からや、下から見てください。
実際の絵の具の厚みをご覧いただけます。
そして、茨乃先生の神絵祭の為の描きおろし『BLACK BLADE』をご堪能ください!
☆茨乃先生が神絵祭の為に描きおろして下さいました☆(2014.09.21)
茨乃
『BLACK BLADE』
7月の新作版画個展にて『クロックワーク・プラネット』の素晴らしい
描きおろしを発表してくださった、茨乃先生。
神絵祭でも最高の1枚を仕上げてくださいました。
①作品のコンセプト
黒髪少女を全然描いてなかったので描きたいなーと思いました
②上記コンセプトを思い付いたきっかけ
前々から描きたいとは思ってたのですが、
つい金髪少女を描いてしまったため
嬉しい機会が訪れました^^
③作画でこだわった点
white wingという絵の対となっておりまして、
色々と正反対に描くよう意識してます
服装はかなりこだわってます(笑
担当注)『white wing』は雑誌『E☆2』36号に掲載されました。
④苦労した点
ほぼ黒系色でまとめるというのは最初に決めた決まりごとだったので綺麗にするために結構悩みました
⑤この作品で版画に期待すること
もっともりあがってほしいですね!
⑥先生ならどう飾る?(玄関にとか、窓の横で夕日が入るようにとか)
とりあえず、white wingの隣に飾りたいと思います!
新作版画「Tony Collection」発表☆(2014.09.06)
先日ちょこっと告知しましたTony先生の新作版画ですが
いよいよ発表となります!!
当日会場で本物を見ていただきたいのですが、
神絵祭ならではの特別作品となっております。
3作品の版画がセットになっていて、
それぞれにマット(作品押さえのための台紙)が付き、
さらには額が一つ付いてきます。
実はこの版画、
3つの作品を自分の好きなように入れ替えることができる優れものなのです!!
今月はこの子で、
来月はあの子にしようかな・・・むふふ・・・などという、
男子なら夢見るようなチョイスが可能なわけです。
しかも、3作全てに金プレートが付いており、
Tony先生のサインを金プレートに印字したものになっています。
とても贅沢な仕様、まさに神作品!!ですので、
ぜひ会場でご覧ください☆
☆梱枝りこ先生『すいーと☆あっぷる』について伺いました☆(2014.09.01)
『すいーと☆あっぷる』より一部掲載
―作品のコンセプトをお願いします。
夏祭りです。
―そのコンセプトを思い付いたきっかけは?
夏コミで扇子を作りたくて、
夏っぽい風景が伝わる絵がいいなと。
―作画でこだわった点を教えてください。
りんごあめ!ずっと前から描きたかったんです。
りんごあめの質感を出せるかチャレンジしました。
こんな感じの塗りが苦手なので。
―では、苦労した点はりんごあめですね。
光沢とか光っている感じが苦手なんです。
りんごあめっぽくなっていればいいなと。
―この作品で版画に期待することは?
キラキラ感と、涼しげな感じをお願いします。
―先生なら版画をどこに飾りますか?
トイレ(笑)
自室は別のものでいっぱいなので。いまだトイレには何も飾っていないのですが…。
☆素材の違いをお楽しみください。~梱枝りこ先生『すいーと☆あっぷる』☆(2014.08.28)
以前こちらのサイトでもお伝えした通り、素材を変えることで版画は表情を変えます。
下の2つの画像を見比べてください。
素材:紙
素材:アクリルシート
版画では色がきれいに出るのは当たり前。では、生ではの楽しみといえば、生身の目で見るからこその質感かもしれません。
これまで、アールジュネスでは作品の特徴や、
先生のご希望に合わせて紙だけではなく様々な素材への版画を行ってきましたが、
中でも透明感が期待できるということで人気素材の一つとなっているのがアクリルシートです。
あくまでも好みになりますが、紙への版画は柔らかさが、アクリルシートへの版画は透明感が出ている感じがしませんか?
なんだか実際の表情まで違うように錯覚しちゃうほどです。
今回の神絵祭用の版画新作『すいーと☆あっぷる』では両素材の版画を制作しました。
皆様はどちらがお好き?
Tony先生 スペシャル新作版画情報!!(2014.08.27)
Tony先生ファンお待たせしました~★
今回神絵祭にてTony先生の新作版画が発表になるのですが、
ちょっといつもと仕様が違う感じらしいのです・・・!!
極秘入手した情報を並べますと、
数枚がセットになっている・・・
版画を入れ替えできる・・・
金プレートに先生のサインが・・・
えっ…
一体なに!?
イラストの情報もちらっとだけ入手できたのですが…
↓コレ
ファンならわかっちゃうかも!?
また情報入手したらお知らせしますー!!!
☆ごとP先生『お花屋さんの女の子』☆(2014.08.25)
『お花屋さんの女の子』
さて、本日はごとP先生の『お花屋さんの女の子』に関して、
ごとP先生にあれこれ伺いました!
―作品のコンセプトを教えてください。
お花だらけです。
―そのコンセプトを思い付いたきっかけは?
定期的に花を入れた絵をちょこちょこ描いているのですが、
いまいち苦手意識があって、
克服するためにも花ばかりの絵を描いてみたかったんです。
画面に花のある絵は、出来すぎている気がして敬遠してたのですが、
お花屋さんにいる女の子なら、自然に描けるかと思いまして。
―作画上こだわった点は?
版画として飾った時に、お花のきれいさを楽しめるよう意識しました。
お花屋さんはやっぱり綺麗じゃないですか。
―苦労した点があれば。
花…、ひたすら花を描き続けました。
―この作品で版画に期待することは何ですか?
花って綺麗すぎるじゃないですか。
信号みたいにただ赤、青、黄と並べると引きで見たときに、色が混ざって汚く感じますよね。
今回の花たちの色味は無秩序に見えて、どこに何を置こうかにこだわって取り組んだので
それが綺麗にでるといいなと思っています。
―この作品をごとP先生ならどう飾りますか?
日の当たる場所です。実際に版画を自宅に飾るようになってから、飾るのをイメージして描くようになりました。
(ごとP先生の)自宅の場合、ちょうど飾っている場所に日が当たるので、それをイメージしてます。
思いっきり西日なんですけどね(笑)
珈琲貴族先生 新作版画『楽園』について(2014.08.24)
先日発表されたばかりの珈琲貴族先生の新作『楽園』について、 先生にコメントをいただきました~!
*作品を描いたきっかけを教えてください。
僕のコミケ5周年記念本の表紙用に描きおこしたもので、
とにかくシンプルに余計なものは入れないストレートな表現で
どこかエロティックでどこか格好良くて、どこか儚げな絵を描きたいと思いました。
*作品のお気に入りポイントは?
今回は青山さんの表情です。何とも言えない目つきになったのではないかと!(笑)
*作品の制作上、苦労したところは?
装飾品もほとんどなく、大胆な構図でもない、ほとんど質感だけで勝負に出たところですね。
綺麗に塗りすぎないように、整いすぎるとエロスが半減すると思ってあえて粗い部分を残しつつ、
手を抜いたわけじゃないと感じてもらえるように調整を繰り返したところですね。
*この作品についての妄想ストーリーを語ってください!
さっきまで楽しそうにはしゃいでいたのに、どうしてそんな顔でこちらを見るのか。
何か挑発するかのような、大人びた表情をする少女に様々な期待が膨らむ……という感じですね。
このイラストは先日の夏コミで発表された同人誌表紙ということで、かなり話題を集めています。
この青山さんの今までにない美しい表情・美しい情景はぜひ版画で間近で楽しんでいただきたい!!
神絵祭にてじっくりご覧くださいね☆
☆版画用に描き直すこともあります!☆(2014.08.20)
雑誌やゲームの為に描かれた作品を版画化する際に、せっかく版画にするのであればということで、
作家本人が作品に加筆や修正を行うことがあります。
毎回必ずと言っていいほど、加筆してくださるのが、ごとP先生です。
今回は、神絵祭向けに発表して頂く作品として、ごとP先生の『お花屋さんの女の子』をご紹介いたします。
作品はもともと雑誌『E☆2』の為に描かれたもの。
ほんの一部を比べてみても、表情や背景、細かなディテールが違うことがお分かり頂けますでしょうか?
少しずつの変化が作品全体の世界観を際立たせ、皆様の目をより楽しませるようになるのです。
会場ではこんな風に、本来の作品とは姿を変えたものもチラホラ見ることが出来ますので、
自分の記憶を頼りに、違いを探してみるのも面白いかもしれませんね!
☆大好評シリーズに新作登場☆(2014.08.13)
2012年 宵月夜
2013年 ふりしきる
2014年春 寒中椿
神絵祭を初回から追いかけて頂いている皆様には、隠れた名作として知られる緋色雪先生の着物シリーズの描きおろし。
なぜ、隠れた名作と言われるかといえば、あっという間に完売してしまうから。
発表した翌年には生の版画が見れなくなってしまうので、初耳というかとも多いかも。
そんな大人気シリーズに新作が登場です!
作品『まいあがる』より
まずは作品について、緋色雪先生に伺いました。
①作品のコンセプトを教えてください。
着物で夏です。
②上記コンセプトを思い付いたきっかけは?
これまでの描きおろしが着物が続いていて、
それぞれ秋・春・冬を
描いていましたので、残りの夏となりました。
③作画上どこにこだわりましたか?
逢魔が刻というか、マジックアワーというか、
そのくらいの時間帯で色鮮やかにランタンが光ることです。
娘さん(ふりしきると同一人物)の印象が浴衣と夜といった感じで
雰囲気が違って見えるようにしたので、そのあたりも気を使ってみてます。
④苦労した点があれば。
とにかくランタンの数と足元の草です。
手数以外に解決法がなかったので泣きそうでした。
⑤この作品で版画に期待することは?
通常の印刷よりも鮮やかに刷っていただけるので、
一目観た際に光があふれるような印象になると嬉しいです。
⑥緋色雪先生なら、この作品をどう飾りますか?
照明の少ない部屋とか、間接照明の部屋とか、
少し暗めの部屋とかだと光が冴えていいかなぁと思います。
上記に少しだけお見せしたのは作品の一部を加工したものですが、
実際の作品は画面に光が広がる素敵な作品です。
この作品を見て頂くだけでも神絵祭会場に来る価値があるといっても過言ではありません!
☆素材こだわりシリーズ ver.2登場☆(2014.08.10)
大好評の内あっという間に完売してしまった、
てぃんくる先生の『ETOILE RECETTE M/E』(エトワールリセ メタルエディション)。
神絵祭、福島会場・名古屋会場ではその工程をご覧いただくことでしかご満足いただけませんでした。
『ETOILE RECETTE M/E』関連記事はこちら。 → /archive/2014/gallery.html#news0702
そして、早くも第二弾が登場!『TREBLE CHOLUS M/E』(トレブルコーラス)です。
作品の全体像は会場でご覧いただくとして、
そう、今回は金色の金属を使いたい!ということで、とある金属を選定。
実はこの選定作業は困難を極め、上から流し込む樹脂との相性がなかなか上手くいかず、
金属選定をするだけで2か月ほどかかってしまいました。
何とか適合する金属を選び、様々なチャレンジ、失敗を繰り返したのですが、
やはり、てぃんくる先生作品の最大の特徴の一つでもある透明感を最優先に、素晴らしい版画か出来上がりました。
作品のタイトルでもある『最高音域の合唱』の歓喜の歌声が聴こえてくること請け合いです!
♥版画とは?-part5-♥(2014.07.02)
ここまで、版画の制作風景を中心にご紹介してまいりましたが
弊社では、様々な新しい版画への取り組みも行っています。今回は6月に発表されたばかりの最新作
てぃんくる先生の『ETOILE RECETTE M/E』(エトワールリセ メタルエディション)をご紹介いたします。
左の画像をよ~く見てください。
普段の『版画』とは少し違って見えますね。
実はこちら、今回この新作の為に開発した技法で制作した版画になります。
てぃくる先生がこの絵を描いたときに『立体感や浮いている感じを大事にした』と伺い、
是非版画でそれらを表現しようと工房との綿密な打ち合わせの中で生まれた作品です。
写真②
写真①
写真①と画像②を見比べてみましょう。
質感はもちろんですが、写真①の黒薔薇は宙に浮いているように見えませんか?
実はこの版画、金属/レズン/レズンの3層からできており、その間に刷りを行うことで
立体感を演出、その結果、まるで水の中に浮遊するようなイメージの版画となりました。
右の写真は、てぃんくる先生にOKサインを頂いたもの。
版画の最大の魅力はやはり色味ということで、作品仕様の方向性が決まってからも2か月ほどかけて色の修正を行い、ついに完成。
このサインもまるで浮いているように見えますね。
このように、版画と一口に言っても様々な技法や表現方法があり
作家のこだわりのみでなく、陰で支えてくれる工房のスタッフ達により工芸品といってもよいような作品ができるのです。
♥版画って何?-part4-♥(2014.07.01)
作品が完成したら、欠かせないのが検品作業。
制作過程で、異物が入らなかったか、版ずれなどおこしてないかなどを細かくCHECKします。
平面で見る。
光を透かして見る。
まだまだ見る。
余白にキラ飛び発見!
そっと取る。乾燥。
こちらの工房では、全ての照明に特殊な色校正用の蛍光灯を使用し、より精度の高い検品を行っています。
一番発色よく色を見ることができるのは自然光ですが、外での検品は当然ながらリスク高すぎで出来ませんので、
最も近いとされる蛍光灯を使っているそうです。(普通の蛍光灯では黄色が強く見えてしまします。)
そして、乾燥後、完成です!
ここまでのこだわりの作業はじっくりと時間をかけて手作業で行うため版画制作には多くの時間を要し、
完成度の高い作品をお見せできるわけです。
♥版画って何?-part3-♥(2014.06.19)
作品の完成度を高めるため、版画の技術の中には様々な特殊効果があります。
その中でも特にイラストレーターの皆様や顧客様にも人気が高い特殊効果に’キラ’があります。
キラには様々な種類、大きさがあり、作品の特徴に合わせてどのキラを使うかを選定します。
参照:/archive/2014/2013_summer/artist_pr.html?pScartist_pr
(記事/深崎暮人先生-後編…さまざまなキラの特徴に関する記事です。)
キラを載せたい場所以外に飛び散らないようにするため細かく細工されたマスキングシートの上からキラを噴射。
キラはただ吹き付けるのではなく、作家の好みに合わせてやり方を変えています。
職人さんはこれの作業を長時間行うため、完全防備です。
しかもこの部屋は作業の特質上エアコン禁止とか、夏暑く、冬は極寒だそうです。
完全防備の職人様。
マスキングの上から吹き付けます。
♥額装へのこだわり♥(2014.06.18)
アールジュネスの版画はこだわりが沢山詰まっていますが、
今回は実はとっても重要な部分「額装」についてご紹介します。
額装は絵の一部と言っても過言ではないくらい、 その世界観に多大なる影響を及ぼします。
フレーマー(額装の職人)という額のスペシャリストが
神絵師たちの作品の世界観をさらに深くするべく、
色々な種類の額の中から作品を一番惹き立てるものを選びます。
↓会場を見渡すと、色々な額があるのがわかります。
例えば、このKEI先生の作品は中から発光しているようなイメージがあるので、
清らかで神秘的なホワイトとシルバーの混ざったような、神聖なイメージの額装を。
同じKEI先生の作品でも、こちらは夜の闇と月光が交差するミステリアスな作品。
こちらには黒の額、黒のマット(版画を押さえる紙)、
マットの縁にシルバーのラインを入れました。
少しシャープな感じですね。
カントク先生の色鮮やかな作品には、
まるで漆を塗ったような和を感じさせる艶のある黒額を使用しました。
先ほどのKEI先生と同じ「黒額・黒マット・縁にシルバーライン入り」ですが、
こちらの額は艶のあるタイプ。
さらによく見てみると、なんとマットの隅に紅葉の装飾が……!
こういった額装での楽しみ方ができるのも版画ならではです。
そして、てぃんくる先生の作品はなんと、
表面のアクリル版に木々の影を印刷するという驚きの手法が!!
奥行が出るので、
木々の中にいる女の子の存在感がより一層強く伝わる作品となりました。
このように額装一つとっても、
その作品の世界観を更に盛り上げる材料となるわけです。
ぜひ神絵祭会場で色々な作品をご覧いただき、額装も共に楽しんでください☆
♥版画って何?-part2-♥(2014.06.11)
さて、早速刷りに入るわけですが、一口に版画といっても様々な技法があり
通常学校で習う木版画やエッチング、石版や金属版を用いたリトグラフ
布を版として皆様もよくご存じのプリントごっこの原理にもなったシルクスクリーン
ポジ・ネガの原理を応用して作られたシバクローム、そしてデータで色味を解析して
直接的に色味を紙に落とし込むジクレと様々あります。
作家の特徴や表現に合わせて使い分けたり、複合で使ったりして先生方の理想を再現するわけですが
なんといっても『印刷』との一番の違いは、
色味の調整
にあります。
早速、下記画像を比べてみましょう!
これらの画像は実際の版画の色校正をスキャナーで取り込んだものです。
色味の違いはお分かりいただけますでしょうか?
左の紅葉も十分綺麗なものになりますが、右はやや赤みが増しています。
しかし、よく見て頂くと紅葉以外の部分の色味に変化はありません。
これこそが版画制作の難しい部分であり、かつ凄さでもあるのです。
しかもこの修正、先生からのご指示は
『紅葉をもっと長野とか京都とかで見ることができる燃えるような紅葉にしてください!』
という、ある意味抽象的な指示で…。
まぁ、かえってわかりやすいです(笑)と工房さんには言っていただきましたが。
会場ではこんな作家先生のこだわりと理想が詰まった版画が見れるわけです。
皆様楽しみにしてくださいませね。
版画って何?(2014.6.4)
神絵祭での一番大きな目玉といいましたら、様々な版画を大量にご覧いただけること。
とはいえ、初めて版画を見るよっという方にはピンと来ないかもしれません。
というわけで、今回は版画の基礎知識をご紹介したいと思います。
まずはその制作に関しまして。
近年、イラストレーター界では、90%のイラストレーター様がデータで制作を行っています。
それに伴い版画の世界でもそのデータをもとに版画制作を行うことがほとんどになってきました。
今回はその’データ’からの版画制作をご紹介いたします。
① 作品データを洗う。
イラストレーター様がA4サイズなどで制作を行った場合、版画では倍以上の大きさにすることが
多い為、予定しなかった、線のゆがみや、不自然なごみのようなものが出てきます。
主線や塗りが不完全な場合には修正も必要になります。(写真①)
作家が意図しての場合は当然修正するわけにいきませんので、随時確認しながらの
作業になります。
写真①
② 紙選び
版画に適した紙には様々な条件がありますが、版画では通常の印刷に比べ大量の絵具を
塗り重ねるため、おのずと厚みがあり絵具によるムラやヨレが出にくいことが重要になります。
その中から作品ごとに紙の色味や風合い、表面の質感の違いなどから適切な紙を
選びます。
シャープな線を強調したいときは『真っ白なツルツルした紙』、作品の柔らかさを出したいときは
『繊維多めのややクリームがかった紙』といった具合です。
写真②
③ 紙のお掃除
版画制作を始める前に、紙に付着しているであろうゴミやほこりを
空気のスプレーで除去していきます。
ちょっとしたことと思えるこの工程が、作品の完成度をグンと上げるのです。
写真③
さて、いよいよ制作!ですが、つづきは6月11日の記事にて…。